タンチョウは生息個体数が少なく、絶滅が心配されたため、昭和27年(1952)に特別天然記念物に指定された。それにともなって、保護計画を立案するため生態調査が行われてきた。
中でも営巣地の分布や数は、十分に調べておかなけれぱならない事がらの一つである。タンチョウは人の手が入らない広大な湿原に2〜7平方キロメートルと広いテリトリー(なわばり)をつくり、その中に営巣する。だが彼らが繁殖できる環境はそう多くはない。しかも営巣地は周辺から開発の手がのびてきている。
タンチョウの保護を担当していた文化庁と北海道教育委員会(現在は環境庁と北海道生活環境部)は、タンチョウの保護と開発の調和を図るため、昭和47年から3年間にわたってタンチョウの特別調査を行った。この特別調査ではタンチョウの生態観察、保護増殖、死因などがくわしく調べられた。さらに昭和48年、49年には、はじめてヘリコプターを利用した空中からの営巣地の確認がなされた。
昭和48年には5月29目から6月4目にかけて、ヘリコプターを使って調査された。その結果成鳥162羽、亜成鳥28羽、幼鳥47羽の合計237羽、営巣地鴉か所が確認された。また49年には4月18目から25目にかけてふたたびヘリコプターを利用した調査が行われ、成鳥176羽、亜成鳥12羽・幼鳥4羽の合計192羽、営巣地65か所が確認された。
ここに示した繁殖地の分布図は、この2年にわたるヘリコプターによる調査結果をもとに、そのほか実地踏査などの資料を加えて作成した。また同一個体が2年にわたってことなる地点で繁殖した場合は、個体識別が不可能なため、営巣地を示す点は2か所に示されている。したがってこの点の合計がそのまま繁殖つがい数を示してはいない。
分布図をみると、西は十勝川河口から西に海岸線に沿って広がる湖沼群に営巣地の1群が認められる。そして東に向かって釧路湿原の釧路川沿い、阿寒川沿い、厚岸湾と別寒辺牛川沿いから浜中町の霧多布湿原、根室の風蓮湖周辺にそれぞれ営巣地群がある。また根室半島、野付崎にも営巣地が点在している。
網走の濤沸湖や国後島ではそれぞれ1回ずつ繁殖が確認されている。この2か所については今後も継続して繁殖するかどうかは予測が立っていない。