

タンチョウはツル目ツル科に属する。鳥綱には26目、約7600種の鳥類が属している。ツル目はその26目の一つで、12科189種からなりたっている。ツル目はその構成科数の割合にくらべ、種数が少ないようだ。分類学上の配列ではツル目は、キジ目とチドリ目の間に位置している。
ツル目12科の間には形態上の共通点は認めにくい。生態上ではさらにことなっている。そのためツル目の分類ではこれまでに諸説があった。ノガン科とツル科をまとめて1科としてチドリ目に入れたり、ツル目、ノガン目、クイナ目を別々に分けたりした分類学者もいた。
今では骨格の形態や脚の筋肉の形態から共通した一つのグループとしてまとめられている。
Garrod (1873)が分類した頭骨の鼻孔の凹形態のうちの、全鼻孔惟ないしは分鼻孔性を示している。またHuxley (1867)が四分類した口蓋型では分顎性を示している。脚筋はツル科、クイナ科では尾腸大腿骨筋、半腱筋、半腱筋副筋が存在し、ほかの科では半腱筋がある。一般に肉食や穀物食のもので発達する食道のそのうは、ツル目には存在しない。
ツル目のヒナは、ふ化したときにはすでに綿のような幼綿羽におおわれ、またすぐに歩くことができる早成性である。ツル科の鳥と形態的に似ているトキ科やコウノトリ科を含むコウノトリ目は、ふ化直後には歩くことのできない晩成性であることがちがう。雌雄同型のものが多いのもツル目の特徴である。例外はノガン科やミフウズラ科だ。このミフウズラ科は一夫一妻惟の多いツル目の中でも異質で、多夫一妻惟である。雌は雄より大きく、かつ羽色がきれいである。
ツル目の中で最大の科はクイナ科で、ツル目全体の約65%にあたる124種が属している。クイナ科の多くはムクドリからカラスの大きさで、湿原に生息している。
一般的に飛行力は弱く、中には沖縄本島産のヤンバルクイナやニュージーランド産のノトルニスのように無飛力のものもある。
このほかツル目にはクイナモドキ科1種、ミフウズラ科15種、クビワミフウズラ科1種、ツル科14種または15種、ツルモドキ科1種、ラッパチョウ科3種、クイナ科124種、ヒレアシ科3種、カグー科1種、ジャノメトリ科1種、ノガンモドキ科2種、ノガン科21種が属している。

ツル科の鳥の特徴は首と脚が長いことである。また全長の最大が152センチ(オオヅル)、最小でも97センチ(アネハヅル)と大きいことも一つの特徴だ。くちばしは長く鋭く、そして強い。魚類や両生・爬虫類、昆虫類を捕獲するのに適しているだけでなく、小さな植物の種子を1粒1粒つまみ上げることもできる。
長い脚は丈夫で、普通に生活しているときには短距離の移動は歩行による。しかし飛行力も強く、ツル科14種のうち9種は長距離を渡り、そのほかの5種についても、短距離ではあるが季節的な移動を行うものがいる。飛行力の強さは、これまでに確認されている鳥類が到達した最局局度の約8900メートルを記録したことでも明らかである。
これはネパールのヒマラヤ山脈の上空を秋に渡るツル類の記録で、ソデグロヅルかアネハヅルまたはクロヅルだとされている。
ツル類の声は遠くまでよくひびく。これは気管が胸骨内でうずまいていて長いため、気管支の分岐部にある鳥類の発声器官である鳴管で発生した音がよくひびくからだ。まさにツルの一声が発声されるのである。

地球上には、タンチョウの属するツル目ツル科の烏が14種生息している。中にはこれを15種として、この分類には異論をとなえる学者もいる。その場合は、カンムリヅルをカシムリヅルとホオジロカンムリヅルの2種に分けている。ツル科はクロヅル属(Grus)、ホオカザリヅル属(Bugeranus)、アネハヅル属(Anthropoides)、カシムリツル属(Balearica)の4属からなる。このうち最大の属はタンチョウを含むクロヅル属で、14種のうちの10種までをも含んでいる。
ツル類は南アメリカ、南極の両大陸と太平洋諸島、マダガスカル島などの島々を除く世界各地に広く分布している。分布地域は亜寒帯から熱帯までの湿原や草原で、砂漠や樹林地帯には生息していない。
英名 Common Crane 学名 Grus grus 亜種
全長約113センチメートル。体全体は灰色で首が黒く、頭項部が赤い。ユーラシア大陸の北部で繁殖し、ヨーロッパ南部、アフリカ北部、アジア南部で越冬する。日本では九州に少数が渡来する冬鳥。繁殖地ではスゲやヨシなどの生える湿原に営巣する。1〜2卵を産み、抱卵は雌雄が交代で行う。抱卵期間は28日、ヒナは9〜10週間で飛べるようになる。絶滅の心配はない。
英名 Black-necked Crane 学名 Grus nigricollis 亜種 なし
全長112センチメートル。和名は尾が黒いという意味だが、実際には白い。黒い尾にみえるのは次列風切羽である。中国のチベット地方やインドのラダック地方の高地にある湿地で繁殖し、冬には低地にまで漂行する。産卵期は5月下旬から7月と幅がある。これは繁殖地の標高が高いため、年によって初夏でも積雪があるためだ。休息する個体数は500羽以下と推定される。
英名 Hooded Crane 学名 Grusmonacha 亜種 なし
全長約100センチ。体は灰黒色、頭部から首にかけて白い。東シベリアで繁殖するが、営巣地についてはほとんどわかっていない。ほとんどの個体が日本の鹿児島県出水市で越冬する。最近、中国の楊子江周辺の越冬地が知られるようになった。繁殖生態についてはわ.かっていない。個体数は推定7000羽前後。越冬地の出水市へそのほとんどが集中し、悪影響が心配される。
英名 Sandhill Crane 学名 Grus canadenisis 亜種 5
全長約104センチメートル。体全体が青みをおびた灰色で頭頂は赤い。亜北極圏から熱帯に位置するキューバまで、北アメリカに広く分布している。北部のものは北アメリカ南部に渡る。営巣環境は温厚や乾燥した草原である。産卵数は2卵である。日本には迷鳥ないしは冬鳥として少数が渡来する。種としての個体数は多いが、5亜種のうちの2亜種は絶滅の危機にある。
英名 Japanese Crane 学名 Grus japonesis 亜種 なし
全長約140センチ。体全体は白く、首と次列風切羽、三列風切羽が黒い。頭頂部は赤い。東シベリアのハンカ湖、中国東北地方の黒竜江省で繁殖するものは、冬期には朝鮮半島や華南地方に渡る。日本では北海道東部で繁殖し、渡りをしない留鳥である。営巣環境は広大な湿原や湖沼の岸に広がるヨシ原などである。北海道に約350羽、大陸には推定約1000羽が生息する。
英名 Whooping Crane 学名 Grus americana 亜種 なし
全長約132センチ。黒い顔と初列風切羽、赤い頭部を除くと体全体は白い。カナダのウッドバッファロー国立公園で繁殖し、アメリカ合衆国のアランサス国立野生生物保護区で越冬する。湿原で営巣し、2卵を産む。抱卵期間は34〜35日である。野生ではヒナは1羽しか育たないことが多い。人工増殖が行われている。生息個体数は約100羽で、絶滅が心配されている。
英名 White-naped Crane 学名 Grus vipio 亜種 なし
全長約130センチメートル。顔が赤く、頭部から首が白い。体は灰色。シベリア東南部、中国東北部、モンゴル北部で繁殖し、冬期には朝鮮半島、中国南部、日本に渡る。日本では鹿児島県出水市に冬鳥として約1000羽が渡来する。4月ごろ湿原に営巣し、2卵を産む。抱卵は主に雌がする。抱卵期間は30〜33日である。個体数はさほど少なくないが、保護の必要がある。
英名 Sarus Crane 学名 Grus antigone 亜種 2
全長約152センチメートル。飛行力をもつ鳥の中で最も背が高い。顔の下半分と首の上部を除き、体のほとんどの部分は灰色。インドから東南アジアにかけて分布し、最近ではオーストラリア北東部にも分布を広げている。湿原に水生植物を集め、営巣する。繁殖期は雨朝の7〜10月である。主に雌が抱卵し、ヒナの世話は雌雄で行う。東南アジアの亜種は絶滅したもよう。
英名 Brolga 学名 Grus rubicunda 亜種 なし
全長約I27センチメートル。オオヅルによく似ているが、のどから肉だれがぶらさがる。体色は明るい青灰色である。南西部を除くオーストラリア、ニューギニア南部の草原や湿原に分布する。留鳥だが、中には移動するものもある。繁殖期は雨期の9月から3月である。産卵数は2卵で、抱卵は雌雄が交代で行う。現在、保護が十分に行われているので、絶滅の心配はない。
英名 Siberian Crane 学名 Grus leucogeranus 亜種 なし
全長約135センチ。額とほおは裸出しており、赤い皮ふでおおわれている。初列風切羽と雨おおい羽を除くと、全身が白い。シベリアのツンドラ地帯で繁殖し、イラン、インド、中国南部で越冬する。日本へは迷鳥としてごくまれに渡来する。生息個体数は少なく、野生のものが約200羽、飼育下のものが約30羽である。絶滅が心配され、ソビエト政府が増殖を試みている。
英名 Wattled Crane 学名 Bugeranus carunculatus 亜種 なし
全長約132センチメートル。頭頂部は濃い灰色。額と顔が裸出していて赤い。エチオピア西部、ザンビア、ジンバブエから南アフリカまでの草原や湿原にすむ。局地的な移動はするが遠距離の渡りをしない。巣をつくる場所としては沼沢地の中にある小島が好まれる。巣は草を横み上げてつくり、クリーム色の地に茶色の斑の卵を2卵産む。個体数は約7000羽以下と思われる。
英名 Demoiselle Crane 学名 Anthropoides virgo 亜種 なし
全長約97センチ。ツル科14種中最小の種類。全身が青灰色。目のうしろから絹のような、また首からは黒いかざり羽がでている。北西アフリカ、中央アジア、シベリア南部で繁殖し、北東アフリカ、南アジアで越冬する。日本へは冬期に渡来するきわめてまれな迷鳥。多くのツル類とはことなり、乾燥地帯に生息している。草を集めて営巣し、2卵を産む。絶滅の心配はない。
英名 Stanley Crane 学名 Anthropoides paradises 亜種 なし
全長約109センチメートル。体全体が青灰色。頭部は長めで銀白色の羽毛でおおわれているため、ふくらんでみえる。アフリカ南部の開けた草原。農耕地などに生息する。季節により小規模な移動をする。巣をつくらず、草におおわれた自然のくぼみに2卵を産む。繁殖期は1O〜12月で、抱卵は雌雄が交代で行う。抱卵期間は約28日である。絶滅の心配はないようだ。
英名 Crowned Crane 学名 Balearica pavonina 亜種 2
全長約109センチ。1属1種で、ツル類の中では後頭部に黄金色の細長い冠羽があるなど、特異的である。西および中央アフリカの亜種はほおが赤い。西および南アフリカの亜種はほおが白くホオジロカンムリヅルとして別種とすることもある。巣は湿原に草を踏み固めてつくる。ほとんどが2卵を産むツル類の中では唯一、2〜3卵を産む。現在のところ絶滅の心配はない。
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